役員コラム

月刊リージョナルスタイル25年11月号「採用マーケティングという視点」

リージョナルスタイル取締役の植田です。外を歩くとどこからか金木犀の良い香りが。例年より少し遅いようですが、季節は進んでいますね。

さて今回は、Uターン人材の採用においても求められる「マーケティング視点」について、具体的にどのようなアプローチが効果的かを考えてみたいと思います。

1. 応募者が増えない理由

「給与を上げているのに、良い人が応募してこない」。地元企業の方から、そんなご相談を受けることがあります。特にUターン転職者を対象とした募集では、ニーズはあるものの応募に至らないケースが少なくありません。

その理由の一つは「魅力の伝え方」にあります。転職希望者は、給与や仕事内容などの条件だけでなく「その会社で働く自分を想像できるか」を重視しています。

これは例えるなら“商品を選ぶ消費者の心理”にも似たもの。「共感が得られるか」がカギになります。求職者は、その会社の“物語”や“価値観”に惹かれて応募することが多いのです。

2. 何を伝えるべきか

弊社では、転職後の定着度を把握するために、入社後のインタビューを行っています。そこでよく聞かれるのが「生活の豊かさを手に入れられた」という声です。

プライベートの時間が増えたこと、通勤や育児のしやすさ、自然に触れる機会の多さなど「転職で得た新たな暮らし」に満足している方が非常に多くいます。

しかしこれらの“定着理由”は、仕事のみの情報からはなかなか伝わりません。生活とのバランス、職場の雰囲気、日常のエピソードなど、こうした情報を候補者に届けるには、発信が必要です。

SNSや採用ページ、社員インタビューなどを通じて、働く人のリアルな声を届けていくことが、結果的に「選ばれる企業」になるための第一歩となります。

採用マーケティングとは、求職者を顧客と捉え、自社の価値を戦略的に伝えていく取り組みです。決して大企業だけの話ではありません。

むしろ、地方都市にある企業こそ、“暮らしと仕事の調和”という大きな武器を、もっと上手に語ることができるはずです。

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